第1章

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彼女から、僕らは見えない。 そう、僕らは小さな小さなーーー 「にしても、おまえ、背ぇちんまいなー。そこは気合いで伸ばさんかい。」 「あなたとそう変わらないです!」 一介のチョコの精と、彼女が入店したお茶屋さんにいたというーーー 「そうけ?まあ、個人差っちゅうやつやな。ほら、わしらはの。」 ーーー偉大な天神さまのお力で生まれ出でた 梅ヶ枝餅の妖精じゃけんーーー 「妖精がこんな珍妙な人だなんて!でもって、言葉!おかしい!」 「そらぁおまえ、わしん中の餡子は、北海道もんじゃからのー。北から旅をしてくるまでの間に、どんなけあちこち通ってくると思とるねん。しかも、霊験あらたかな天神さまのご加護を受ける妖精じゃからのー。吸収が早いんだっちゃ。」 納得できない! この、丸い顔に触覚をつけたハゲ頭で、ピンクのレオタード姿に白ソックス、赤いバレエシューズ、背には4枚の歪な羽をつけたおっさんが。 妖精さんだなんて!
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