第1章

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「何言うてるんや!わしら梅ヶ枝餅の妖精はな、餅の1つ1つに憑いて、食うた奴の福を祈ってから、飛んで戻ってくるんやで?見てみいや、あの行列。全員、自分の番待ちや。休まんと働いとるんやでぇ?」 「わあああ!見たくなかった!シュール!」 餅の実演をしている方に目をやると。 大人数の梅ヶ枝餅のレオタード妖精さんたちが、行列を作って職人さんの後ろに控えていた。 焼き上がるたんびに、一人ずつ飛び上がって、焼きたての餅の上に正座して取り憑く。 「なんちゅうても、ここの餅は1つずつ全部手作りや。わかるやろ?機械でこさえたもんに、わしらはよう憑かん。人の手に、人の思いに憑くんやで。」 「それはそうですけど・・・」 でも、あんなに大勢の妖精の大群、見たことない。 「日本は、米一粒にも十人の神様がおわしますっちゅーありがたーい国や。梅ヶ枝餅一個に妖精が一人憑いとっても不思議はない。」 どや?博学やろ?と胸を張る妖精さんには申し訳ないが。 神様と妖精は違うから!何かいろいろごちゃ混ざってるから!
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