第1章

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もう、何をどう尋ねたらいいのやら。 ぐったりしていると、おもむろに妖精さんが立ち上がった。 「よっしゃ!おまえの代わりに、わしがこの子を励ましたろ!」 「えっ!何をするつもりですか?」 妖精さんは、皿の上に残ったラスト一個の梅ヶ枝餅に近付いた。 その梅ヶ枝餅にも別の妖精さんが憑いていたのに、何やらごにょごにょ交渉して、なんと!場所を譲ってもらって、改めて憑き直した! 譲った方の妖精さんは、「何やかなわんわー、もっかい列に並び直しやなんてもー」とぶつぶつ言いながら、どこになるのかわからない最後尾に向かって消えていった。 「いいだか?わしが代わりに食われてやるっぺ!んで、天神さまのご利益をこの子にちっとでも授けてやるだよ!」 だから、おまえは早く別のチョコに取り憑き、そのチョコを作った人間の幸せを祈れ、と妖精さんに言われ、僕の胸は熱くなった。 「さあ!はよ旅立て!わしが見守っちゃる!」 「はい!ありがとうございました!彼女を!彼女をよろしくお願いします!」 妖精さんの優しさを無駄にはできない! 僕は、立ち上がって、お茶屋さんをあとに・・・
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