召喚

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遂に迎えた召喚の日。 全部の生徒達がするわけでは無い。何故なら、卒業までに召喚を行えれば良いと言う事だから。 自分に自信が無ければ召喚を先に伸ばす事も、また、決断の一つだ。 それが正しいかどうかは本人にしかわから無い。けれど、卒業までに必ず行わなければなら無いのもまた、事実。 殆どの生徒達が第一回の召喚を辞退した。未だ僕が出した課題をクリア出来ていない事が大きな理由の一つ。 担当の先生は何やってたんだろうね。何人かは課題をクリア出来たけど納得出来るほど使いこなせて無いって理由で辞退していた。 まあ、無理して急ぐ必要も無いから、確実に召喚出来るようにしようってのが本音かな。 当然の反応だね。そう思うよ。 僕達は、今沢山の教員達と共にあの広い場所に来ている。 端の方で緊張した表情で待機している僕達。周囲を囲むように待機する教員とギルド員達によって、否が応でも高まって行く緊張感。 生徒の全員が、硬い表情で並んでいる。誰も一言も話さ無い。まあ、当然か。この召喚で一生のパートナーが決まるんだ。緊張して当たり前かな。 僕はクスクス笑って言った。 「ふふふふふふふ・・・・・・・。皆、凄い表情だね。ガッチガチ」 そう言った僕を睨む生徒も居た。 「お前。ふざけんな!幾らお前がもう魔法使いって認められてるからって、余裕が有るからって、俺たちを馬鹿にしてんのか!」 そう怒鳴った生徒に、僕は真剣な表情で言った。 「とんでもない!僕は皆がとっても羨ましいんだよ」 僕の言葉に、驚いた表情をするバーン達。 「は?何を言ってんだ?エル?」 僕は微笑んで言った。 「僕の使い魔は生まれた時に決められてしまっていたんだよ。きっとね。でもね。皆は違うでしょ?何が呼ばれるのか全然わから無い。だから、凄く楽しみだよね?だから、羨ましいよ」 僕の言葉に、複雑な表情になるバーン達。 「だって、そうでしょ?強い使い魔だったら、龍とか天使とか?悪魔かもしれ無いし、精霊かもしれ無い。そう考えると楽しくない?楽しみじゃない?ずっと、自分とパートナーとして手を貸してくれる仲間・・・・。自分を高めるために、手を貸してくれるんだもん。 それにね。此処にいる皆は、僕が教えた事を守って訓練を続けて来てるでしょ?随分と質が上がって来てるのが感じられるんだよね。凄いよ。頑張ったでしょ?だから、僕は凄く楽しみなんだ!」
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