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玄関を入ると、そこに夏樹の靴を見つけた。
いつもなら仕事に出ている時間なのに、家にいるなんて珍しいなと思いながら、
「ただいま」
と入っていくと、ダイニングに、なんだか難しい顔をした鈴音と、その鈴音の前に夏樹、そして先に入った冬依がいる。
鈴音は何故だか、テーブルの上に積まれたチョコレートを、親の仇のように睨みつけている。
夏樹は、帰ってきた秋哉が両手にぶら下げている紙袋に目を止めると、
「おー、秋もなかなかやるな。ここに置けよ」
すでに山になっているプレゼントの箱をちょっとどけて、スペースを作ってくれた。
秋哉は素直にそこに紙袋を乗せながら、
「これはオレのじゃねーよ。トーイのだ」
「ん? じゃあ秋のは」
「……無ぇよ。第一オレは、これまでだってチョコレートなんか、貰ってきたことないだろうに」
小学校の時は、学校に菓子は持ち込み禁止だった。
中学校の時は、もらったすぐに箱を開けて、クラス全員で分けて食べた。
高校に入ってからは、女とはどうも上手く付き合えない。
秋哉に何かした覚えはないが、いつの間にか遠巻きにされて、怖がられる存在になっていた。
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