午前 10時47分

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「あれ、なんだか…… 背伸びてない?」 「そんな訳ないだろ。もう四捨五入したら三十歳だぞ、オレも」 「うわ、そーなんだ。歳取ったね。オッサンだ」 「いや、同い年だから。そっちもオバハンだろ」 「むー 私はいいの。年取らないから」  マスターが席にやってきて「いらっしゃい」と低く響く声で彼女に告げる。  いや、おかしいだろ。いま来たのはオレだよ、マスター。 「きたきた! 美味しいんだよね、ここのクラブハウスサンド」 「いや、これ、オレのだから」 「男のくせに細かいなぁ。じゃ、コレと交換してあげるから」 「もう四分の一しか残ってないだろ、このホットドッグ」 「いっただきまーす」  満面の笑みでオレのクラブハウスサンドを頬張る彼女。鼻の頭にさっそくソースつけてるし。  相変わらず、惚れ惚れする食いっぷりだ。女にしとくには勿体無い。
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