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「で? 今日は何だよ」
「ん、何もないよ」
「何もないのに…… オレを朝から叩き起こしたわけ?」
「なによ。こんな美人から誘ってあげたのに不満なの?」
「む……」
思わず、言葉に詰まる。
理由は……胸の中を探ってみたが、不満の言葉なんて一つと見当たらなかったから。実際、目の前の女性は整った顔立ちをしている。物凄く。
ふとしたことからお互い気が合うことがわかって、こうして度々会ったりしてるけど…… 普通だったらなかなかお近付きにはなれないだろう。
もっとも、見た目と中身とのギャップも相当激しいわけだが。
「あ、そーだ。コレ、知ってる?」
ソースで汚れていない薬指と小指を器用に使ってバッグから彼女が取り出したのは、クシャクシャに折り畳まれた美術館のフライヤーだった。
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