3人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
まだ飲み足りないと主張する彼女をタクシーに押し込んで、運転手に住所を告げる。
寝言混じりにボヤく彼女をやり過ごすオレは、いまきっと仏像みたいな顔をしている。
ってか、いつキャミソール一枚になったんだ、コイツ。引っ付くな。酒臭いし、素肌がやたら熱い。
「ほら、着いたぞ。降りて」
「無理。抱っこ」
「いや、何歳だよ」
「お肉食べさせてあげたでしょ。おんぶ」
「……背中にオエッてしたら、すぐに降ろすからな」
ホントに酔ってるのか、コイツ。
走り去るタクシーのテールランプを見送りながら、こっそり呟く。
だが、耳元に掛かる息は熱く、背中に伝わる鼓動もかなりのハイビート。
「ここ、どこ?」
「どこって、自分のマンションだろ。気付けよ」
「歩けない。連れて上がって。もしくは、連れ去って」
「もう言ってること支離滅裂だから、さっきからずっと。で、鍵どこだよ」
「んー お尻のポケット、たぶん」
最初のコメントを投稿しよう!