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流石におんぶしたまま小さなポケットの中を探るのは難しい。渋る彼女を説得して、ようやく背中から引き剥がした。
「フラフラするー」とか言いながらガラス扉に両手をついて、形の良い尻をこちらに向ける彼女。
アメリカ映画で、警官が犯罪者をボディチェックするシーン。アレが思い浮かんだ。
薄いキャミソールの裾から白い腰が覗いているが、強靭な意志で見なかったことにする。
今夜のオレ、もはや悟りの境地。
「……おい、ないぞ。ちゃんと思い出せよ」
「あ、そっか。フロントのポケットかも」
くすぐったいと身をよじる彼女のポケットからようやく探し出した鍵で、エントランスのオートロックを解除……したと思ったら、再びのしかかられておんぶ体勢。
そのままエレベーターに乗り込む。
狭い空間にも関わらず、ハイテンションで壁をガシガシ蹴る彼女。
思わずよろけて反対側の壁に肩をぶつけた。
フツーに痛いんですけど。それから、耳元で笑うな、うるさい。
そろそろ怒っても良いんじゃないかな、コレは?とか自問しつつ、男の色んな事情からそんなモードになれない。不覚。
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