3人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ……」
「お酒でとっても美味しくなってるよ、いまの私?」
「失恋して酔っ払った女を送って……って、どう考えてもフェアじゃないだろ」
「あー ヘタレが聖職者みたいな言い訳してるー」
「うるさいな。送り狼って呼ばれるよりは、ヘタレの方がまだマシだ」
「ねぇ。なんで、そんな風なの? その気になればモテるのに」
「……は?」
「他の男と全然違うって言ってんの」
「そんなの別に良いだろ。オレの勝手にさせろよ」
「他のと同じだったら、一回だけヤッて。やっぱりつまんない男だったってポイして、すぐ忘れてやるのに……」
「なんだよ、それ」
そう言ったきり眠気に負けたのか、彼女は目蓋を下ろしてしまった。街灯の明かりに長い睫毛が小さく震えている。
剥き出しの背中に毛布を掛けてやると、気持ち良さそうに身体を丸めた。猫みたいな生き物だな、コイツ。
最初のコメントを投稿しよう!