午後 10時03分

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「なっ……」 「お酒でとっても美味しくなってるよ、いまの私?」 「失恋して酔っ払った女を送って……って、どう考えてもフェアじゃないだろ」 「あー ヘタレが聖職者みたいな言い訳してるー」 「うるさいな。送り狼って呼ばれるよりは、ヘタレの方がまだマシだ」 「ねぇ。なんで、そんな風なの? その気になればモテるのに」 「……は?」 「他の男と全然違うって言ってんの」 「そんなの別に良いだろ。オレの勝手にさせろよ」 「他のと同じだったら、一回だけヤッて。やっぱりつまんない男だったってポイして、すぐ忘れてやるのに……」 「なんだよ、それ」  そう言ったきり眠気に負けたのか、彼女は目蓋を下ろしてしまった。街灯の明かりに長い睫毛が小さく震えている。  剥き出しの背中に毛布を掛けてやると、気持ち良さそうに身体を丸めた。猫みたいな生き物だな、コイツ。
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