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悲しいことも辛いことも楽しいことも嬉しいことも、恋は全てを生み出してくれる。
全力で愛して、全力で泣いて、いつか必ず幸せになれると信じて結ぶ赤い糸。
出会いと別れを繰り返し、もう嫌だと思いながらも、それでもまた誰かを好きになってまた結ばれる赤い糸。
全ての人達の小指に紡がれた赤い糸。
誰かの指に届いている赤い糸。
けれど、誰もが相手に辿り着けるわけではない。
光の筋のように真っすぐに伸びていればいいのにと思うけれど、大抵は複雑に絡まり合い、下手をすればぷつりと切ってしまう。
絡まった糸をほぐせず、間違った糸を手繰り寄せる。
するとそこには別れが生まれる。
今までどれだけの人たちが繰り返したのだろう。
切っては紡ぎ、切っては紡ぎ……。
本当に繋がれている相手に辿り着く作業を。
私の糸は、どこに繋がっているのだろう。
手繰り寄せている間に切ってしまったのだろうか。
それともまだ――
結婚をしたのは失敗だったと何度そう思ったことだろうか。
恋人同士のように、「別れましょうさようなら」で終われる関係ではない。夢のない言い方をすれば、国に守られた契約だ。
そう、婚姻届けは契約書なのだ。なのに、なぜ二度も契約をしてしまったのだろう。同じ過ちを繰り返すほど馬鹿だったのかと、今更ながら自分で自分を疑ってしまう。あまりに浅はかだったと。
いや、最初は信じていた。この人とならきっと素敵な人生が送れるんだ。
優しくて、しっかりしていて、自分にはもったいないくらいの人だと思っていた。
誰でも最初はそう思うはずだ。政略結婚のように当事者が望まない結婚でもない限り、お互いを信じて好きあって結婚するのだから。
けれど時は全てを変えていく。環境、性格、愛情さえもだ。
結婚して7年、桜の愛情はもうすっかり枯れてしまっていた。自分だけではない、相手の愛情もだ。
どうしてこうなったのだろう。どこで何を間違えてしまったのだろう。
今更修正したいとも思わないが、二人の糸はきっと元々繋がってはいなかったんだ。
ぐちゃぐちゃに絡まった細い糸を切らないように、無理やり手繰り寄せた相手だったんじゃないかと。
ああ、またやり直しだ。
ハサミでぷつりと切ってやろう。
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