1 日々

8/9
前へ
/10ページ
次へ
小学校の時はエイジがクラスで一番背が低くて、身長順に並んだ時は必ず先頭だったのに、中学入ってから急成長し、高校に入る頃には学年で一番背が高くなっていた。僕も175cmと身長はそこそこ高い方のはずなのだがこいつといつもいるせいでどうにもそういう風に見られない。 「まぁまぁ、それよりケイちゃん聞いたか?今日転校生来るんだってさ」 「知ってるよ。昨日ヒナタさんから聞いた」 というか、今さっきその事について考えていたところだ。 「なんとその子、前の高校が雛菊女子高校だったらしいぜ。」 「え、お嬢様校で有名な、あの?」 雛菊女子高校、略して雛女は都会の高校の中でも美女揃いの女子校で有名な女子校である。大企業の令嬢やらとんでもない金持ちの娘ばかりらしく、しかも顔面偏差値は高いときた。言ってしまえば雛女生は男子高校生からしたらアイドル的な存在である。 ちなみに僕が通っている香凪(キョウナギ)高校というどこにでもあるような田舎の高校だ。強いていいとこを挙げるとしたら女子の制服が素晴らしいデザインということぐらいだな。 しかし、なんでそんな高校に元雛女生が? 「いやぁ雛女生って聞いて安心したぜ。杉田玄白みたいな転校生きたらきっと俺は白目むいてたな」 「奇遇だな。僕も西郷隆盛みたいなのがきたらどうしようかと思ってた」 「なんで二人して転校生のイメージが歴史の人物なんだよ」 そう言ってケタケタ笑うエイジ。 ・・・僕が言うのもなんだが女で杉田玄白っぽいってそれただのババァだろ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加