血液ショコラと臆病キング

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――時は十七世紀。 文明を遮断した片田舎の小さな村・ルーチェは、吸血鬼の名門ブルート一族に支配され、百年に一度一族の王が変わる年になるとひとりの《生贄(サクリファイス)》を出すのが習わしとなっていた。 《生贄》と言っても無残に殺されるようなことはない。 その代わり新たな王の《専属食材》になる…その王が退任するまでの百年間、人間としての存在理由を捨て、血液を摂取され続ける。 百年の間は吸血鬼の王の唾液が吸血の際に体内に入ることにより若さ、美しさを保っていられるが、お役御免となった百年目以降…人間の世界へ戻されると、一瞬で老婆へと姿を変える。 戻った村も姿を変え、頼れる人間もない。 今まで多くの《生贄》は役目を終えると、自ら命を絶っている。 さて、今年ブルート一族の王である望里・ブルートの退任に伴って嫡男の蘭堂・ブルートが着任することになった。 村人から《生贄》が選ばれる。
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