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日本の江戸時代のような家を想像してみる。想像するのは長屋なんてものではなく...と、俺は何をやっているんだ。そもそも、少し休憩するだけなのにそんな大きな家なんて必要ない。
あの瓦礫の処理方法が分からないというのに。もしも、この世界の人間にその家が見つかったらどんな事になるか。想像するのが容易い。
ならば、と思い普通に簡易テントを想像することにした。
「家生成!」
その瞬間、目の前が発光し、俺の頭の中のテントとほぼ瓜二つのテントが目の前には生成されていた。
「おお、成功した。ちゃんとしてるみたいだし、中入ってみるか」
チャックを開けると子供の時家族と行ったキャンプを思い出すような光景がそこにはあった。上にぶら下がっているランプ。敷かれていたのはよく使っていたシートと同じ柄のもので手触りも全く一緒だった。
「これなら...大丈夫だな」
そして、頭に思い浮かんだ光景。それは、今まで思い出さないようにしていたこの世界にいないであろう家族。そして、こんなこと、想像もしていなかった。忘れていたつもりであった。でも、その気持ちはひししと強くなっていく。
もう会えないんだ...きっと会えないのだろうな。そう思うと、出さないようにしているのに。意識しているのに。目からは無意識に不思議と涙が出てくる。止めようとしても止まることのないそれは、自分の隠していたものだった。
自分って、こんなに泣き虫じゃないはずなのに。
どうしてかな...その疑問はいつの間にか夕焼けとなっている空の彼方に飛んで行った?
「良し! 情けないな、俺。そんなことよりも、早くやってみよう」
さっきまでの涙を、記憶を、また想像したら泣いてしまいそうになるから我慢することにした。いや、頭の片隅に置いて別の楽しいことを想像し始めただけだ。
本題にいよいよ入る。本題とは...
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