第1章 始まり

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「よし! くじ引きターイム! やってやる。大丈夫なはずだ」  テンションを地味に上げながら恐る恐るyesに手を伸ばし、人差し指で触れた。すると、目の前に箱が出現した。でも、その箱はただの箱では無く空中に静止している。だけど、俺が見た箱と明らかに違う気がするのは気のせいなのだろうか?  あの時みた箱は純白で、金色っぽい装飾もあったはずなのに、今目の前にある箱は魔反対で真っ暗。これ以上の黒は存在しないんじゃないかというほどの物凄く怪しげな雰囲気を醸し出す箱だ。フラグが立ち過ぎている。嫌な予感しかしない。 「これ、大丈夫...だよな? 引いた瞬間に?みつかれたりとかも無いよな? 絶対危険だ。引かない方が良い」  俺は、その箱が怖かったので、颯爽とダッシュでその箱から逃げた。勿論、緑の方向へとだ。まあ、ほったらかしにするのも悪い気がするがしょうがないんだ。 「はあ、はあ。まあ、この辺までくればあとは無視するだけ。あの箱のことは忘れよう」  そして、後ろを振り向く。しかし、直ぐに表情を固まらせて元の方向を見た。後ろには、どす黒い箱が変わらない位置で静止していた。って、待て。一旦落ち着こうか。俺は逃げたはず。そう、それは確かだ。じゃあ、あそこにある箱は一体...  もう一度気になって見てみると、見間違いではないようで変わらずそこにある。それから離れるようにして歩いてみる。すると、それも俺に合わせるようにしてついてきた。 (いや、ついてくんな)  全力でダッシュする。するとまるでお母さんに付いてくるアヒルの赤ちゃんのようにぴったりとついてきた。こう表現するとかわいく見えるが決して可愛くなんて無い。むしろホラーだ。 「ぜぇ、ぜぇ...いや、なんでついて来るんだよ。ずるは出来ないってことか。しょうがないな。引くしかない...」  俺は、この箱には叶わないと思い、というかどこからどうみても自業自得なのだが引くことにした。箱に近づく度に緊張しているためか心臓のドクンッ ドクンッという鼓動がはっきりと聞こえてきた。 「あとは、手を中に入れて引くだけ...!」  そう自分に言い聞かせるが、何が起きるか分からないので全身がこわばる。手を入れると何かを手に取った。この手触り、くじだろう。思いっきり引いて箱の外に手を出した。 「あれ、特に何も起きなかったな。ふう、良かった。さてと、肝心の中身は何なんだ一体」
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