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…なに?…そうだったの?…でも逆効果だよ…
寿命数百年は縮んだよ…死ぬ程怖かったもん。
…桜梨はドン引きしながら、内心悪霊にツッコミを入れた。
『実は…俺の妻は妊娠中だったんだが…無理して大食い大会に出ていて…食べ物が詰まって死んじまったんだ…』
悪霊は泣きそうな顔をして、切なそうに打ち明ける。
…妊婦なのに…無理して出るからだよ!!
食べ物詰まって死ぬなんて…なんで出たのっ!?
赤ちゃんに謝って奥さんっ!!
そんなエピソードを聞いて、桜梨は衝撃を受けてツッコミを入れる。
『それを聞いた俺は…料理中に慌ていたから…包丁の手元が狂って…滑った拍子に…包丁か心臓に突き刺さって死んじまったんだ…』
苦笑いして悪霊は死因も話した。
「あれ…?事故死?…自殺じゃなくて?」
苺から聞いた話と違うので、桜梨はキョトンとして悪霊に言う。
『自殺?…してねぇけど…』
桜梨に言われ、悪霊も目が点になる。
「僕が聞いた話では…」
桜梨は悪霊に苺から聞いた話を話し出した。
[良いか?あの日本食のレストランは…五年前、借金で頭がおかしくなったシェフが…妊婦を刺し殺して自分も首を吊って自殺したんだ]
[それから悪霊になって…廃墟マニアや、心霊スポットを突撃した奴等を何人も道連れに殺しているらしい…]
生前、苺は身振り、手振りを交えながら料理中に風呂上がりの桜梨に話して聞かせた。
「って…知り合いから聞きました」
キョトンとしながら、桜梨は悪霊に教えた。
『何だよそれ…有り得ねぇ…話に尾ひれ付き過ぎだ…』
溜め息をついて悪霊は桜梨に言うと座り込む。
「じゃあ…本当に悪霊じゃないんですか?」
座り込んだ悪霊に、桜梨は恐々近付いて尋ねた。
『死んでも…妻はあっさり腹の子と成仏したが…俺は料理人として…志半ばで死んじまったから成仏したくても出来ないんだ…』
『もっと…料理を作りたかったし…子供を育てたかった…成人して結婚して幸せになるのも見届けたかったんだ…』
泣きそうな声で悪霊は訴える。
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