第2滅「ようこそ僕の家へ」

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「…」 悪霊を見て桜梨は気の毒に思い悲しくなる。 …父さんが言ってたな…この世に留まる幽霊は悪霊ばかりじゃないって… そう思い出すと、桜梨は真っ直ぐ悪霊を見詰め… 「僕の家族は他界しているので…ずっと一人で住んでます。家事力ゼロなので料理は作れません…」 「それでも良いなら…僕の家に来て下さい。教えて頂ければ嬉しいです」 照れ臭そうにはにかみながら、桜梨は悪霊に言うと… 悪霊にスッと手を差し伸べる。 『え…?本当に良いのか?』 桜梨の言葉にびっくりして悪霊は目を丸くする。 「はい。悪い幽霊さんでは無いので大丈夫です」 笑って桜梨は悪霊に答えた。 『ありがとう…不束な者だが…宜しく頼む』 涙ぐんで悪霊は桜梨の手を握った。 パアアッ 次の瞬間、悪霊が光り輝き… 真っ黒いオーラーが消えて行き…茶髪で少し後ろ髪が長く… 水色の割烹着を着た青年に姿が変わった。 「あれ…?」 「お?」 桜梨と青年はびっくりして瞬きし… 散歩してる老人と白い犬が通り掛かり… 「なんだ?兄ちゃん食い逃げでもして料理人に追い掛けられたのか? 山道なのに御苦労なこった。兄ちゃんや、非行に走っては駄目だぞ」 老人は二人にそう言うと…何事もなく通り過ぎて行く。 「…料理人って…俺の事か?」 「多分…」 青年は自分を指差して桜梨に聞き、桜梨も困惑しながら青年に答えた。 「「人に見えてる!?」」 山道に青年と桜梨の声が響く。 「だったら…僕…試したい事があるんです」 「試したい事?」 桜梨の言葉に青年はキョトンとする。 「はい…実は御世話になった近所の高校生のお兄さん達が…一ヶ月前…僕の家の前で他界してしまい…地縛霊として成仏していないんです…」 「ですから…僕が触れば…二人も実体化出来るかも知れないと思って…」 桜梨は目を下に臥せて青年に言う。 「…分かった。それなら試して見ようぜ。俺の主はお前だ。お前の好きなようにすれば良い」 ニッコリ笑って青年は桜梨に答える。 「ありがとうございます?」 嬉しそうに笑って桜梨は青年に礼を言った。
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