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だが、桜梨と青年は気付いてなかった…物陰で見てた二人の男子高校生の幽霊の事を…
『幽霊が実体化した…あんな珍妙な力があるなんて…随分面白い力だね』
笑って少年は呟く。
『間違いない。あいつが…俺達がずっと探している奴の生まれ変わりだな…』
隣の少年が頷くと腕を組んだ。
『慎也達にはまだ伝えないで置こう。もう少し泳がせて起きたいしね。居場所を確認して…動向を見極めてからでも遅くないでしょ?』
『…それもそうだな。奴は中学生…無闇に怖がらせたくはない。穏便に再会も果たしたいしな』
少年の言葉に、隣の少年も頷いた。
桜梨と青年が歩き出すと、二人も消え失せ後を追い掛けるのだった。
『桜梨…遅いね』
『そうだな…』
苺と杏は、一緒に蟻の行列を数えながら話す。
『まさか…家出したまま帰って来ないとか?』
『それは無い。キチンな桜梨の事だぞ?それだけの度胸は無い』
苺に聞かれ、杏は目を細めて否定した。
「苺お兄さーん!!杏お兄さーん!!」
タッタッタッ
『『桜梨っ!?』』
桜梨の声が聞こえ、嬉しくなり苺と杏は振り返るが…
……なんか変な度胸着いた!?
…後ろから不審者がっ!!
桜梨の後ろから走る青年を見て、苺と杏は衝撃を受けた。
『桜梨っ!?不審者連れて来ちゃ駄目だろうっ!?早く警察に連絡しな!!』
『如何にも怪しさ満点だっ!!連絡している間、こいつに金縛り掛けて足留めしておくぞ!!』
桜梨が駆け寄ると、苺と杏は息を切らせながら叫ぶ。
…不審者…俺がか?…
呆れた顔をして青年は冷や汗を掻いた。
「違います、この方は…僕の家に同居する事になった幽霊さんです」
『はあ!?同居だって!?しかも幽霊!?意味わからないぜ!!』
『嘘をつくならマシな嘘をつけ。何処からどう見ても生身の人間だろ』
桜梨が説明しても、苺と杏は信じようとしない。
「嘘じゃねえよ」
スッ
青年は二人に言うと、一瞬で半透明な幽霊の姿に変わった。
『『!?』』
びっくりして苺と杏は目を見開く。
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