第2滅「ようこそ僕の家へ」

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「僕が触れたら…光って実体化出来るようになったんです。ですから…きっと苺お兄さんや杏お兄さんも…」 理由を話すと、桜梨は苺と杏を見詰める。 『…』 『…』 困った顔をして、苺と杏は黙り込むと顔を見合せ… …うーん…この女装してる奴…見覚えがあるんだよな… …腹黒剣を振り回す…扱い要注意な奴に似てる… じいーっと苺を見て、青年は顎に手を当てていた。 『分かった…』 『試してみよう』 苺と杏は、桜梨の気持ちに答え了承する。 「ありがとうございます!!では…」 ギュッ 桜梨は苺と杏の手を片方ずつ握った。 苺と杏も、反対側に居るので限界まで真ん中に来てるわけで… 桜梨も真ん中に来て限界まで両手を伸ばしてる。 プルプル桜梨の手が震えており、微妙なバランスを保ていた。 …なんかのフォーメーションか? 青年はキョトンとして三人を見て思う。 パアアッ 次の瞬間、先程と同じく二人は光り輝き… 足の枷も外れ…生前と変わらない姿で苺と杏は姿を現した。 「痛い…生身?」 プニッ 「痛いが…本当に生身だな…」 プニッ 苺と杏は、互いに頬を引っ張り痛みで確認する。 「っ…良かった!!」 嬉しくなり、桜梨は二人に抱き着く。 「桜梨…」 「…」 抱き着かれ、二人はびっくりしたが涙ぐんで桜梨を抱き締めた。 …良かったな。 安心して青年は胸を撫で下ろす。 「これで実体化出来るようになった訳だけど…俺達は死んでるし…家族は俺達の死でショックを受け…他県に引っ越したんだ…」 「実体化出来ても、帰る家など無いし居場所は何処にも無い…これまで通り此処に留まるか…墓に移動するしか無いだろう」 苦笑して苺と杏は桜梨に言う。 「っ…それは駄目です…絶対に駄目…それじゃお兄さん達が寂しくなっちゃいます」 涙目で桜梨は首を振り拒否する。 「でも…他にどうすれば?」 「他に手だてが無いぞ?」 苺と杏も困るばかり…
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