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第3滅「最強魔王降臨せん」
都心から離れた場所に、広大な敷地面積を誇る邸宅がある。
周囲を城壁の如く塀に囲まれ、まるで城のような造りの日本家屋。
表札には【高名】と掛かれている。
平安時代から、安倍家と双璧を成す陰陽師として知られた名家であり…
十数年前に妻を病で亡くしただけではなく…
最近では、立て続けに長男を任務中の事故で…
次男を不慮のバス事故で亡くした悲劇に見舞われ…
今は残された一番下の長女が、唯一生きたまま任務に向かっている。
広大な庭の先に、大きな玄関の扉があり…
そこでは…半透明な姿の美しい青年が黒いスーツを着て向かう準備をしていた。
赤紫色のウェーブを掛けた長い髪をポニテにし、睫毛は長く、顔立ちは美しい女性そのもの。
高名華林(たかなかりん)(25)。
高名家の長男で、任務中に事故で亡くなったが…
自らの霊力で実体化する事も可能なので、変わらずに任務を続けている。
「華林兄様…」
不意に後ろから呼ばれ、華林は後ろに振り返る。
そこには、赤紫色の髪をツインテールにし、襟やスカートの丈にフリルが付いた桃色のセーラー服姿の美少女が居た。
高名愛華(たかなあいか)(15)。
高名三兄妹の唯一生き残った娘で、末っ子の可愛い…筈?の紅一点。
『また…慎也のお使いに行くのか?』
華林は呆れた顔をして愛華に問い掛ける。
「えぇ。勝手に死んで成仏しない癖に…未だに閉鎖された武道館に居りますのよ」
「事あるごとに…雑用のお菓子や飲み物、食料を持ってこされられて…私が良い迷惑ですわ」
嫌そうな顔をして、愛華は華林に答えた。
『嫌なら断れば良いだろう?…お前も明日は試験の発表で忙しいし…明後日も任務で入学式まで暫く家を開けるしな』
同情した華林は愛華に言う。
「そうですのよ…ですから私…とても困って…」
愛華は肩を落として下に俯く。
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