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「幽霊でも、スイーツは別腹なんだよ。美味しい物は食べる。それがスイーツ好きのモットーなんだ」
キラキラ目を輝かせ、苺は杏に開き直った。
「勝手に言ってろ」
呆れた顔をして、杏は洗濯室に向かって行く。
凌は皿洗い中で、桜梨は凌の手伝いをしており…
茶の間から二人の後ろ姿が見える。
……あの凌って人…前世で見たことあるんだよねぇ…すっごく今更な気がするけど…
…新八さんと、平助と…トリオでつるんでて…
…槍振り回して大暴れする…天然なでかぶつ…
土方さんの次に常識人だけど、運が悪い人…極めつけはお腹の傷…
…でも、まさかな?いくらなんでもね?
冷や汗を掻いて思うと、苺は気のせいだと思う事にした。
「皿洗い手伝ってくれてありがとうな」
「いえ…でも…なんか嬉しいです」
凌が笑顔で礼を言うと、桜梨は照れ臭そうに顔を赤らめ…
「五年前に…家族が亡くなって…ずっと僕一人でしたから…お父さんの手伝いをしている見たいで…とても懐かしくて…」
桜梨は苦笑して凌に答えた。
「俺も…子供が生まれる前に妻と子を亡くして…ついでに俺も早く死んじまったから…」
「息子が居たらこんな感じかなって思えて…今、すっごく嬉しいんだ」
太陽のように笑って凌も桜梨に言った。
「凌さん…」
凌の言葉を聞いて桜梨は涙ぐむと…
…苺お兄さんや、杏お兄さんなら怒られるかも知れないけど…
…凌さんなら…きっと大丈夫かも知れない…隠している本当の事を言おう…
桜梨は決心すると凌を見詰める。
「ん?」
桜梨が見詰めるので、凌はキョトンとし…
「実は…凌さんにだけ秘密の話があります」
桜梨は凌に言うと、凌の耳元で囁き…
「っ!?…嘘…だろ?五年間も?」
凌はびっくりして目を丸くして…
「気配は感じても…姿を見せてくれないんです」
泣きそうな顔をして桜梨は凌に言う。
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