第3滅「最強魔王降臨せん」

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…やはりな…桜梨も不思議な力を持ってる…父親も何らかの力を持っていたとしても… さほど不思議ではない…が、何故五年間も桜梨に隠れていたんだ? …やむを得ない事情があるかも知れないな… 杏は足音を聞きながら思考を巡らす。 …だが、今はまだそっとして置くか…刺激しても逆効果になる可能性も考慮しなくてはな… …甘味大魔人には言わないでおこう。面倒な事を起こされたら迷惑だ。 溜め息をついて、杏は一人で納得して頷くのだった。 場所は変わり… 高層ビルが建ち並ぶオフィス街を抜けると… 建物や、門、遊具や器具、揚げ句の果てにサッカーゴールや、野球のネットなども含め… …全て金ぴかゴールドに輝く、一際目立つゴージャスな学校が姿を現す。 門の表札には【財団法人ポーカー高等学園】と掛かれていた。 日本でも有数の金持ち学校で、通う生徒達も御曹司や令嬢ばかり。 校舎の周囲にも、金ぴかな建物が建ち並んでいる。 その中で、屋根瓦も金ぴかな日本家屋がある。 周囲には、鎖が掛けられており…何らかの理由で封鎖されていた。 表札には【武道館】と掛かれている。 実は…半年前…部員や顧問の教師を乗せ、大会に向かっていたバスが… 高速道路で事故を起こし…運転手や、顧問の教師は勿論、三年生から一年生の部員も全員命を落とした。 他の教師や保護者、生徒達は事故を呪いや祟りだと決め付け… 柔道部そのものも廃部となり、武道館は閉鎖される事になったのだ。 そんな武道館の中では… 金ぴかの畳に座り、胡座を掻いた少年を中心に四人の少年達が座っており… 少年達の後ろに、青年が見守るように座っている。 全員半透明である事から…幽霊なのは確実だ。 『何?あいつの生まれ変わりが見つかっただと?』 二人から話を聞いて、胡座を掻いた少年は驚いて目を丸くする。 赤紫色の髪で短髪、茶色いブレザーの制服を着た少年。 高名慎也(18)。 柔道部部長で、死んだ後は…後輩部員達を成仏するまで見守り… 今は顧問の教師や、幼なじみと共に武道館に居座っている。 華林の弟で愛華の兄。つまり、高名三兄妹の次男。
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