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第2滅「ようこそ僕の家へ」
「くっ来るなっ!!」
タッタッタッ
『ひゃーはっはっはっ!!』
繁華街に抜けても、悪霊は桜梨を追い掛けており…
「?」
「何?」
「何だ…あいつ?」
「どうしたの?」
行き交う人々には、桜梨の後ろに居る悪霊は見えないので…
一人で走ってる桜梨に不思議そうな視線を向けていた。
…やっぱり皆…見えるのは僕だけ…なんだ…
視線を感じながら、桜梨は涙目になり…
…このまま…逃げるしかない…家に帰れば…
…きっと…大丈夫…
桜梨はそう思うと、繁華街を通り過ぎて行った。
同じ頃…
ブロロロロッ
半透明な白い乗用車が苺と杏の前に止まった。
……この車は…
…あの車だ…
苺と杏は気付いて目を細める。
バタンッ
車から降りてきたのは、スキンヘッドで黒スーツを着た半透明な男だった。
『よぉ、仔猫ちゃん達…考えてくれたか?俺の物になる事…』
下品な笑みを浮かべて男は苺と杏に言う。
『しつこいな…あんた…』
苺はスキンヘッドを睨み付けると…
ズドンッ
『っ!?』
男が乗っていた車が真っ二つに裂けて消え去る。
『てってめぇ…何をしやがった!?』
狼狽えた男は、尻餅をついて苺を指差す。
『刀で斬っただけだよ?』
笑って苺が言うと、セーラー服姿から浅葱色の羽織を着た侍の姿に変わった。
ツインテールからポニーテールに変わり、額には黒い鉄鋼が付いた額当てをハチマチにして付け…
背中には【誠】と掛かれており、苺は薄く笑みを浮かべ、右手に出現した刀を肩に担ぐ。
『死んでから前世も思い出してね…現世ではあんたより年下だけど…前世の悪霊歴は俺が遥かに上…』
『幽霊同士なら…斬っても構わないし…斬られたくないなら消えろ』
笑って苺はスキンヘッドに刀の切っ先を突き付けた。
『あひいっ!!』
情けない声を出して、スキンヘッドは這いつくばりながら消えて行った。
『苺、桜梨が怖がるから…その姿には絶対になるなよ?』
溜め息をついて杏は苺に忠告する。
『分かっているよ。この姿は可愛くないし…これじゃ侍のコスプレになる…桜梨に嫌われちゃう…』
苺は呆れた顔をして、再びツインテールのセーラー服に姿を戻した。
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