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『こいつは、前世で高杉さん達と関係を持った鬼で……久坂さんが現世で生前…駅前の書店で見付けたらしくて…』
『似てるけど、確証が無いから…見掛けたら教えてくれって言ってたぞ。ちなみに、中学生らしいんだ』
胸を張って山田は二人に言った。
…めちゃくちゃヤバイ…あの子…前世でやりまくってたの!?
…全員手を出されていたのか…はっ!?もしや先生にも!?
……って事は土方さんとかも…?いや…現世ならともかく…前世なら有り得る…
…不潔と言うか不純極まりない…片っ端から手を付けていたとは…
苺と杏は冷や汗を流し、悶々しながら考えを巡らして黙り込む。
『ん?どうしたんだ?』
黙った二人を見て、山田は首を傾けた。
『しっ知らないな…見たこと無いよ…』
…思いっきりあの子の家の前だけどね!!
『バスや電車で通って居る場合もある。他の市や街じゃないか?他県かも知れないぞ?』
…ここは誤魔化すしかない…
苺と杏は、笑顔で山田に答えた。
『そうか…確かにそうかも知れないな。よし、分かった!!高杉さん達にも伝えて置くよ。協力してくれてありがとうな!!』
『高杉さん達に頼まれたお使いもあるから、そんじゃ俺は失礼するぜ!!じゃあな!!』
爽やかな笑顔で山田は二人に礼を言うと、走り去って行った。
『うん、単純馬鹿は扱いやすい。平助みたいに馬鹿で良かった』
『山田は、高杉と同じくらい単細胞だからな。扱うのに困らん』
苺と杏は溜め息をつくと、再び座り込むのだった。
『あっ、蟻の行列発見!!』
キラキラ目を輝かせると、苺は蟻の行列に目を奪われ…
『空は青い…何処までも…』
空を見上げ、杏は目映そうに目を細めた。
場所は戻り…桜梨はと言うと…
「来ないでー!!」
また逃げていた。
今度は山道を全力で。
『待ってくれ!!違うんだ!!』
それまで追い掛けていた悪霊は、疲れた様子で立ち止まると桜梨に叫ぶ。
「え?」
びっくりした桜梨は立ち止まって振り返る。
『追い掛けたのは悪かった。お前、俺が見えるんだろ?…本当は普通に声を掛けたかったんだが…質の悪い不幽霊とか来てたし…繁華街だとお前が変な人に思われる』
『だから…この山道に誘導する為に脅かして追い掛けてたんだ』
幽霊でも疲れるのか、息を切らせながら悪霊は桜梨に訳を話した。
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