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何もかもを許してしまいそうだった。
このキス一つで、グレイにされてきた数々の凌辱を全て忘れてしまいそうな程に心地良くて──
思わずルナの瞳が熱くうるんだ。
あたし──
何を考えてるの?
こんな魔物のキスを嬉しいと思ってしまっている…
認めたくないのに瞳が勝手に濡れてくる。
戸惑いながらルナは熱い口腔の中で滑らかに絡んでくるグレイの舌に自分の舌先を預けていた。
唇を放すと瞳を赤くして涙を浮かべるルナを見てグレイはフッと笑った。
「いたぶっても優しくしても泣くのかお前は…」
「……!っ…これは違っ…い、嫌で堪らなくて…っ」
とっさに手を振りほどき、唇を庇って隠すとルナはムキになって答えた。
だがグレイはそんな言葉さえも皮肉な笑いで飛ばす。
「フン…お前の思考は俺の配下にある。何度も同じ事を言わせるなと言った筈だ…お前の学習力の無さは逸品だな」
「──なっ!…」
「まあ、ズル賢い女よりは可愛気があるから許してやるが」
「──!!…」
グレイはククッと笑うとルナの顎先を摘んだ。
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