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「優しくしてやってキスだけで泣く女はそうそうお目にかかれん。お前はやっぱり俺を充分に楽しませてくれるようだ」
「──…っ!!」
からかわれて口ごもるルナを無視してグレイは笑みを含んだまま、また唇を重ねた。
想いがこちらへ傾いてきたのなら心配はなかろう──
柔らかな唇の上で、空気の音がチュっと跳ねる。
グレイは重ねたルナの唇に軽く吸い付いた。
「……城での扱い方を少し変えてやる。お前に多少の自由を与えてやろう……」
「──!…」
「今度からお前から俺の部屋へ来るがいい」
「なっ…そんな行くわけなっ……」
ルナは振り上げた手をグレイに遮られながら憤っていた。
余裕の台詞に悔しさが募るが、でもいつもみたいに腹立たしくはない。
ルナは自分で心が揺れているのがわかっていた。
皮肉を言われても、バカにされていても泣けるほど辛いと思えなくなっている。
グレイはそんなルナを覗き込むように見つめ、口を開いた。
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