七章 柔らかな鎖

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・ 驚くルナにグレイはそんな言葉を投げかけてベッドから放れた。 「だっ……誰がっ…絶対に行かないんだから!! 今夜のうちにここから逃げてやるっ…」 ベッドから起き上がり落ちかけたシーツをたぐり寄せながら、ルナはグレイの後ろ姿に向かって叫び散らす。 グレイの両肩はルナのその言葉に微かに震えていた。 ククッ… ルナ、お前の思考はわかると言った筈だ── 意地っ張りなルナに口角がつい揺るんでしまう。 本心からの言葉ではないことがグレイには丸解りだったのだ。 グレイはわめいて興奮するルナを置き去りにしたまま扉を閉めた。 ルナの感度がいつもより高ぶりすぎていた。 どうやら今夜辺り、久しぶりにあの極上の血が頂けそうだ── グレイはルナを貪った後の唇を指先で拭いゴクリと喉を鳴らした。 月の巡り 宵に味わうには最高の美酒 今夜、自ら出向いてこれたならイヤというほど優しくしてやろう── そして 冷たく突き放すのもまた一興… 「…ふっ…ククッ……」 グレイは紅い絨毯の敷きつめられた長い廊下をゆっくりと歩き、小さな企みに肩を揺らした。
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