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驚くルナにグレイはそんな言葉を投げかけてベッドから放れた。
「だっ……誰がっ…絶対に行かないんだから!! 今夜のうちにここから逃げてやるっ…」
ベッドから起き上がり落ちかけたシーツをたぐり寄せながら、ルナはグレイの後ろ姿に向かって叫び散らす。
グレイの両肩はルナのその言葉に微かに震えていた。
ククッ…
ルナ、お前の思考はわかると言った筈だ──
意地っ張りなルナに口角がつい揺るんでしまう。
本心からの言葉ではないことがグレイには丸解りだったのだ。
グレイはわめいて興奮するルナを置き去りにしたまま扉を閉めた。
ルナの感度がいつもより高ぶりすぎていた。
どうやら今夜辺り、久しぶりにあの極上の血が頂けそうだ──
グレイはルナを貪った後の唇を指先で拭いゴクリと喉を鳴らした。
月の巡り
宵に味わうには最高の美酒
今夜、自ら出向いてこれたならイヤというほど優しくしてやろう──
そして
冷たく突き放すのもまた一興…
「…ふっ…ククッ……」
グレイは紅い絨毯の敷きつめられた長い廊下をゆっくりと歩き、小さな企みに肩を揺らした。
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