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窓からは冷めた朝の風景が覗いていた。
霞む瞼を擦るとルナはベッドから見える白く広がる空をぼんやりと眺めた。
起きたばかりの思考を整理するように額に掛かる前髪をかきあげて溜め息をつく。
昨夜、窓から見た淫らな光景を思い出し、思わずシーツの中で自分の身体を抱き締めるとルナはギュッと目を閉じた。
異様で異常な世界──
少女のルナには、まだついて行けないことが山ほどある。
館で開かれた晩餐の宴、そして肉欲の祭り。
魔物に組敷かれ庭の到る所で嬌声を上げて居たのは確かに人間の女達だった。
ルナはそのことに身震いを起こしていた。
問題はその女達のことだけではない。
確実に…自分自身もその中の一人となっている。
グレイの腕に抱かれ、嫌悪を感じなくなってしまった今、ルナはどうしていいかわからなくなっていた。
「ルナ様。お目覚めでございますか?」
部屋の外から皺枯れた、だがとても品の良い声が目覚めたばかりのルナに向けて掛けられる。
ルナはもそりとベッドから起き上がり返事をした。
「起きてる……」
「…では、直ぐに朝食の準備を致します。仕度が整いましたら居間へどうぞ」
「わかったわ……」
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