七章 柔らかな鎖

6/32
前へ
/32ページ
次へ
・ 彫刻の施された由々しき扉。 その前でグレイが足を止めると両開きの扉が歓迎するようにひとりでに開いた。 ルナの眠りは深い。 とっさに掛けたモーリスの呪文が効きすぎたのか、ルナはベッドに放されても目を覚ます様子はなかった。 「求めれば苦しみからは解放される…望めば楽になれるものをお前は何故拒む……」 グレイは白いシーツに横たわるルナに覆い被さる。 グレイの影がルナの上に落ち、華奢な身体に重みを預けるとグレイは柔らかい頬を指先でなぞった。 ツツッと滑る長い指はルナの半開きの唇に触れ、顎先をつまむ。 ゆっくりと開かれた唇を見つめると、グレイは冷たい笑みをふっと浮かべ囁いた。 「だが……俺もまだまだ楽しみたい…」 ククッと意地悪な冷笑と共にグレイの口から熱い吐息が漏れるとグレイはそのままルナの上に顔を伏せた。 生温かい口腔。濡れた小さな中をグレイの舌がゆっくりと這い回る。 深い眠りに落ちたまま、ルナはその息苦しさに声をくぐもらせた。 無意識の中、送られる甘い痺れにルナの躰は素直に悦びを表現する。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

139人が本棚に入れています
本棚に追加