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翌日、昨日の事はしっかり頭で整理して学校に向かう。
何時までも過ぎたことを悔やんでる暇は無い。
新しい友達と、今の学校生活を楽しもう。
「あ…お、おはよう」
「京子?おはよう。家こっちの方なんだね」
「うん」
家から出て少しして、偶然京子と会った。
彼女との事もしっかり頭で整理している。
何があったかは分からないのでヘタに謝れないが、代わりにこっちからちゃんと話しかけよう。
「昨日、寝れた?慣れない場所だと寝つき悪くならない?」
「大丈夫だよ。私、実家がここなの」
なるほど。
じゃあ転校してきたってより実家に戻って来た事になるのか。
それなら、最寄り駅とかの案内はいらなそうだな。
「そっか。じゃあ学校に慣れるだけでいいんだね」
「…あの、昨日のりき、の事なんだけど…」
危うく足を止めそうになる。
そういえば、彼女とはその話をした後で気まずくなってしまったんだったな。
そんな話を、また持ち出されるとは。
「うん、何?」
「…ちゃんと、覚えてるよ。大ちゃんの事も、幼稚園の事も、昔好きだった物の事も」
ギュッと拳を握る。
もうそんな慰めは意味が無い。
だって、彼女はりきじゃなかったんだから。
「あはは、きっと覚えてないよ」
「お、覚えてるってば。大ちゃんこそ…覚えて無いの?」
その言葉に、ついに足を止めてしまう。
彼女の慰め…いや、知ったかぶりはもういい。
イライラするだけだ。
「…嘘つくなよ。それと、もう慰めは要らないよ。彼女は…利喜は、俺の知ってたあのりきじゃなかったんだから」
立ち止まった俺をじっとみている京子。
彼女はゆっくり口を開く。
「…知ってたよ。あの子は、隣の幼稚園だったんだよね」
…は?
知ってて、黙ってたのか?
嬉しそうに話す俺に、気を使ったとかか?
そんなの…いらない。
「だって…りきは「あぁ、もういい!」
俺は感情が先走ってしまい、会話の途中で怒鳴りつける。
ビクッ言葉を止めた京子。
彼女を置いて、俺は早歩きで学校に向かった。
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