思い出の場所で

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いつもより5分近くも早く学校につき、まだおさまらない感情を鎮めようと机に伏せる。 ほんと、意味が分からん。 なんで京子が知ってる風に言うんだ。 もしかして知り合いか? いや、彼女も転校してきたばかりで…。 …ん? そういえば、実家はこの辺だって言ってたな。 ってことは、前この当たりに住んでたってことか? りきと知り合い、だったとか? まさかそんな偶然って。 でももしそうなら、あれは嘘でも慰めでもなくって…。 隣に誰かが来た気配。 直ぐに顔を上げると、そこには京子が。 「…え、えっと、京子」 「…な、なん…ですか…?」 僅かに椅子を俺から離し、敬語を使う京子。 先程の1件で、完全に怯えさせてしまったみたいだ。 「そ、その、さっきはごめん。ちょっと、りきの事で聞きたい事が」 「っ…わ、私、何も知らない、です」 完全な拒絶。 少し前のめりになって話そうとすれば、彼女はその倍の距離を離れようとした。 …俺は、自分の行動の軽率さを思い知った。 自業自得だ。 話しかけるのを止め、なるべく彼女から離れて座るようにした。 …もう、昨日から最悪な事ばっかりだ。 午前中、彼女との間に1枚壁が出来たような感覚で授業を受けた。 そしてお昼休み。 ぼーっとしていれば、京子は女の子達に誘われて食堂にご飯を食べに行った。 「大ちゃん。どうしたの?元気なさそうね」 「あぁ、利喜か」 新しい友人、利喜が俺を心配してきてくれた。 別の人と思いこんでたにもかかわらず、こんなに普通にしてくれてるのはありがたい。 「知り合って間もないけど、もしよければ相談に乗るわよ?」 「…利喜、お前いいやつだな」 「そ、それほどでも」 めっちゃいい人だ。 というわけで、購買部で自分と利喜の文のパンを買って来てから彼女に相談する事にした。 りきという友達がいたこと。 その子は転校してしまったこと。 その子の事を、京子が知っているかも知れないという事。
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