転校生は突然に

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片方の子は、長めの茶髪とキリッとした目つき。 少し高い身長が印象的。 こういう場は平気なのか、堂々としている。 もう片方の子は、黒髪のショートカット。 第一印象としては、大人しそうに見える。 こちらはかなり緊張してるのが分かる。 いずれにしても可愛い。 あんな子達に話しかけるのかと思うと、既に緊張してしまう。 「須田 利喜です。よろしく」 「渡 京子です」 自分の名前を名乗り、お辞儀をする2人。 顔を上げた彼達と、偶然目があった気がした。 そこで、俺は謎の即視感を感じた。 「…りき…?」 ポツリと口から出た名前。 何故出たかといえば、『りき』という名前を思い出したから。 俺には小さい頃、りきという女の子の友達がいた。 その子と俺はとても仲が良く、幼稚園が終わるたびに近くの公園で遊ぶような仲だった。 しかし、俺達が小学校に入学する前。 りきが遠くに引っ越してしまう事が決まった。 子どもの俺には何で遠くに行ってしまうのかも分からず、俺を置いてどこかにいくりきを怒った。 りきはただ俺に「ごめんね」と言い続けた。 それを知った親に、頬をひっぱたかれて間違いに気づかされた。 引っ越しの前日だった。 急いでいつもの公園へ走った。 約束もしておらず、きっといないと思ってた。 そんな予想を裏切り、りきは公園のブランコにいた。 俺を見て、直ぐに駆け寄ってきた。 「あそぼっか」 その言葉に、泣きながら謝った俺をりきは許してくれ、時間一杯まで遊んだ。 そのまま夕方。やがてりきの親が迎えに来た。 りきとバイバイをした。 …いや、「またね」と言って別れた。 そんな大切な事を、今思い出した。
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