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「…あの、大丈夫、ですか?」
「え…ぇ?」
思い出から現実に帰ってくると、隣には転校生の大人しそうな方の子。
たしか、渡さん。
彼女は心配そうに俺の顔を覗きこんでいた。
突然の展開に驚く。
クラスの様子を見るに、俺の隣の席が空いていたので、彼女が座ることになったようだ。
「おい大輔、何泣いてんだよ」
「もしかして、女の子が隣に来て嬉し泣きしてるのか?」
友人の言葉に教室はドッと沸く。
俺も恥ずかしいが、隣に座った渡さんも巻き添えになって顔を赤くしている。
ってか俺、泣いてた!?
「うっせーよお前ら!あ、ごめんね?」
「い、いえ」
渡さんは俯き気味に返事をする。
幸先悪いな。
呆れている先生もHRをさっさと終えようとする。
多分この後って、皆が群がってくるよな。
「えっと…俺、矢島大輔。よろしく、渡さん」
「…矢島…大輔…?」
先程の友人との約束?だけ果たしておこうと思い名乗ると、目を見開く彼女。
俺、何か変な事言ったか?
「えっと、どうかした?」
「あ、いえ…あの「おい矢島ー!抜け駆けはずるいぞ!」
「うわっ」
俺が彼女と話していると、クラス1アクティブなやろうが俺を押しのけて退けて彼女の隣に。
何とか転ばずに済んだものの、そこは一瞬でクラスメート達に埋め尽くされた。
渡さんも戸惑っている。
あの性格で質問攻めは辛いと思うが…もう助けられないな。
頑張ってくれ。
それに、俺には気になる事がある。
「…えっと、須田さん」
「ん?」
こちらもクラスメート達に話しかけられていた。
そこに割り込んで話しかけてみれば振り向いてくれた。
「俺、矢島大輔なんだけど、分かる?」
「はぁ?分かるわけ無いじゃん」
「矢島なにちょーし乗ってんの?」
…女子からの罵声を受けるが、我慢して須田さんの返事を待つ。
彼女は俺の顔をじっと見て、何かを考えている。
やっぱり…。
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