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あたし達が連れてこられた場所は河川敷だった。そこに前もって待っていた松本さんが立っていた。
「今から、諸君らに20キロ走ってもらう」
それを聞いたとたん全員無言になった。想像なんてしてなかったからだろう。だが、1人の一年生が手を挙げていた。
「どうかしたか?」
「なぜ、そんなに走らなければならないのですか?普通に無理ですよ」
確かに20キロという距離は入部テストにしては厳しすぎる。場合によっては全員入部できない。それなのに、何故この距離なのかあたしも気になっていた。
「そうだな。君は強豪のリトルシニアが走る最大距離がどのくらいか知ってるかな?」
監督から出された質問に首を振って分からないと合図する一年生に続きを話し始めた。
「答えは罰走で30キロだ。中学生で30キロ走ってる所があるのに、20キロは無理じゃないだろ?」
屁理屈に聞こえる言葉に質問した一年生黙ってしまった。そうなるだろう。だって、監督の迫力が最初の時と比べ物にならないのだから。
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