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「知ってるかい。女の子は公式戦に出れないんだよ。それでも入るのかい?」
少女に問いかけると少女は凍ったように表情を固めた。(あっ、知らなかったパターンか)
「それでも……」
「それでも?」
俺が少女の言葉を復唱すると、少女は詰め寄るように顔を近づけた。その顔を見てちょっとかわいいと思ってしまった。
「それでも、一緒に野球がやりたいんです!」
少女は引く気がないと言わんばかりに、見つめてくる。(困ったな、戦力にならない少女を野球部に入れていいのかな。入っても練習試合で使ってもらえないだろうし)。そうこう悩んでいると背後から声が聞こえた。
「ここにいた。松本君。そろそろ新入部員歓迎会始まりますよ」
振り向いてみるとそこにはマネージャーの夏川さんが華奢な手で遠くから手招きしていた。
「もうそんな時間?わかったけど、まだ行けそうにない……」
そう言うと、夏川さんは不思議そうに近づいてきて俺と少女が見渡せる位置に来た。
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