入部届

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「あら、あなたどうしたの?迷子になったの?」  夏川さんが問いかけると少女は入部届を夏川さんに見せた。 「あなた、マネージャー志望なの?かわいい後輩が出来て嬉しいわ」 「夏川さん、実は……」  夏川さんの甘い声を遮るかのように言うと、少女は夏川さんを見つめて話し出した。 「あたし、選手として入りたいんです」  それを聞くやいなや夏川さんは軽く微笑をしてから、少女に話しかけた。 「なら早く、着替えてらっしゃい。そろそろ新入部員歓迎会が始まるから」  夏川さんは優しく少女に言うと、少女はみるみる明るい顔になっていき夏川さんに礼を言ってから走り出していった。  少女が視界から完全に消えてから、夏川さんの方を向くと、夏川さんは悪戯そうな笑みを浮かべて話し始めた。 「あの子、女子更衣室の場所分かるかしら?」 「本当にいいのかね。女の子を選手として入部させて。練習試合にも出れないのに入れて、三年間を無駄にしてしまうかもしれないのに……」  夏川さんと俺は歩きながら話していると、夏川さんは俺の前に出て、俺に小さな背中を見せながら話し出す。 「それは、新入部員歓迎会を突破してから考えればいいのでは?突破できれば、決して無駄な三年間にならないでしょ」 「ああ、そうだな」  相づちをうちながら、グラウンドに向かった。
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