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あの子は甘いものが大好き。
とくに好きなのは甘い甘いチョコレート。
ただの板チョコでも、ちょっと手を加えたトリュフでも、はたまたミルクで溶かしただけのホットチョコレートでも。
あの子はそれを見た途端、チョコが熱で溶けたような甘い顔をする。
だからいつもこの時季になると
「幼馴染みだから」「チョコ好きでしょ」
と言ってさり気なく手渡した。
本当の気持ちは溶かしたチョコに隠して。
そしてこんなやり取りはずっと続いていくものだと思っていた。
馬鹿（子供）だったのだ。
今年のは自信作だった。
いつもは溶かして型で固めるだけ。
丸めてココアをまぶすだけ。
ちょっと頑張って生クリームを使って石畳風のを作ったこともあった。
でも今年は、今まで以上に頑張った。
溶かしてチョコにバターを加えて
卵と砂糖をよく混ぜて
粉とココアを振るって
全部混ぜ合わせて型に流して
別に作ったガナッシュを中に入れたら
焼き時間に気をつけながらオーブンで焼く
出来上がった一つを割ってみる。
とろり、とチョコが流れた。
いつもより、手間も、時間も、惜しみ無くかけて作った自信作。
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