第一章 『生存本能』

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銃撃と斬撃…なんの打ち合わせもすることもなく、ただお互いの動きに合わせるようにして行動し、そして攻撃を繰り出す。 それだけで…敵害対象となるべきものは、ドンドンくたばっていった。 いつも通りだった。いつも通り、このままいけば…予定よりも早く任務を終わらせる事になるはずだった。 だが、予定とは…そう簡単にうまくはいかないものだ。 その時の俺達にとって、予想外となった事態…それがダーカーの出現だった。 ほとんど突然だった。警戒こそしていたものの、不意を突かれたかのように出現したダーカーの団体に、互いの表情が一気に緊張で張り詰めていった。 数としては小規模程度だったのがまだ幸いだったが、それでも多少数で圧倒された部分もあって、殲滅が終わった後は、お互いに深く息をつくことになった。 その後は、途中ナベリウス特有の激しい雷雨に見舞われ、ずぶ濡れになりながらも無事殲滅を完了した俺達は、踏破したエリアにビーコンを置き、通信が開通したのを見計らって、テレパイプで即キャンプシップへと帰還した。 シップ内に戻ってきた時、お互いに大きな外傷こそはなかったものの、大量の敵害生物を相手にしたもんだから、小さな擦り傷、切り傷が所々出来ていた。 『…災難だったわね』 雨に濡れて、鈍く黒光りするガードウイングを着込んだまま、濡れてへばり付いた髪の毛の水気を片手で叩くようにして弾く。その後姿…ガードウィングの下半身から覗かせる、フリエラの肉付きのいい太腿。 雨の水滴が滴り、ヒップラインから流れ出て、内股辺りをなぞるようにして伝っていく。よくよく見ると、内股あたりにも小さな擦り傷がついている。その部分に、雨の水滴を伝うも特に何の反応も示しはしない。 『…あぁ』 思わず生唾を飲んでしまう。全身を打たれるほどの、あの豪雨に見舞われたんだ。恐らく下着の方も完全に濡れてしまっているだろう。そう考えただけで…自分の中に、黒い欲望が渦巻いていく。意図せずとも、息が荒くなっていく。 そして何より…さっきまでお互い、生きるか死ぬかの真っ只中にいて、今は無事に帰還にしてこの場にいるという、生への実感というものが、どうしようもないぐらいに…生殖本能を刺激されてしまう。
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