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俺の初恋は高校時代だった。少し遅いような気もするけど、事実なのだから仕方ない。
相手は同級生の女の子。クラスではあまり目立たないが、周りがよく見えていて、さりげない気配りができる人だった。俺と彼女は、普通に話したり、二人を含めた何人かでカラオケやゲームセンターに行く程度の仲だった。
しかし、人生で初めての恋に、俺はどうすればいいのかわからなかった。いや、ありのままの気持ちを伝えればよかったのだ。そのくらいは理解できていた。
だが、気持ちの伝え方も、受け入れてもらえたときの男女交際の仕方も、無残に散ったときの気まずさの拭い方も、俺は何一つわからなかったのだ。
それすらも、ただの言い訳なのかもしれない。俺はきっと、彼女との心地よい関係が壊れてしまうのを恐れていただけだ。
結局、告白なんてできないまま、俺も彼女も卒業してしまった。
俺は地元の大学へ、彼女は東京の大学へ進学した。会おうと思えば会える距離だったが、ただの友人同士がわざわざ二人で会うほど近くはなかった。
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