第1章 プレシーズン 

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真紅のジャージに身を包んだ男たちが、今朝積もった雪が包む、足元から冷える寒さの中にいる。 「よし!、全員揃ったな!」 大声を張り上げたのは小柄な体躯に見合わぬ強面の男。 「今日からわれらセントラルファルコンズのプレシーズン前合宿を行う!各自去年の反省を生かして励むように!。 新人はまだわからぬ部分も多いだろう、先輩たちの姿をよく見て学ぶように!」 この男たちは去年JFLにおいて決勝トーナメントのファイナルであるジャパンボウルを戦ったイーストリーグの強豪、セントラルファルコンズのレギュラーチームである。惜しくもファイナルで敗れたチームは雪辱のため、強い闘志に包まれていた。 「では監督、お言葉を…」 そう言って小柄な男、ディフェンスコーチの小谷由蔵は奥に佇んでいる老人に場を任せる。 「thanks “yosi” . come on guys , it was a good team last year, but is this year this year . I will build up a team again. Then I ‘m sorry but was not able to prepare offence coordinater with the incompetence of the front desk . we go for a preseason as it is first of all, …ヨロシク!」 手短なスピーチのあと、少しこなれた日本語で締めた後、彼は満足したように男たちのいる練習場に隣接されたクラブハウスに戻っていった。 「…J J 、なんて言ってたんだ?」 屈強な体を持つ彼らの中でもより大きな体の男が、尋ねた。 「今年もまた頑張ろうって。後、オフェンスコーディネーターはとれなかったってさ。」 答えたのは白い肌に赤みがかった髪の男だ。彼はこのチームのスタープレイヤーでありアメリカンフットボールにおいてもっとも重要性の高いクォーターバックを任されていた。先ほど尋ねた大柄な男は小池香月、オフェンスラインのセンターを任されている。 「よーし、つーわけで今年もこのチームで戦うことになる。お前ら今シーズンも頼むぞ!」 「ウェイっ!」 小谷の一喝の後、チームは今シーズンの戦いに向けた準備に取り掛かるため、またチームに与えられた期待に応えるように返事をした。
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