1066人が本棚に入れています
本棚に追加
頭を下げたまま、誠哉は言った。
そんな誠哉を見ていたら、俺は無意識に指に力が入っていた。
「好きじゃないなら……、なんであんなことをした?」
好きじゃないヤツとキスが出来るほど、お前は軽い男じゃない。
それは俺が一番良くわかっている。
「ごめ、ん。
無意識だったんだ……」
誠哉の言葉に、頬がピクリと上がった。
「お前、さっきから何なんだよ。
昴を好きじゃない。
無意識だった。
それなのに昴にキスしたのかよ!」
「マジでわかんないんだ。
気が付けば身体が動いていたとしか、言いようがない。
危なっかしくて、ほっとけなかったんだよ。
あんな遅い時間に、一人でお前を待つって言うから。
そうしたら雪は降って来るし、アイツの熱はどんどん上がっていくし。
帰った方がいいって言ったって全然聞かねーし。
必死に雪から守ってやってたら、なんか……」
「なんか?」
「なんか、いじらしくなって。
気がついたら……」
「キスしてたってわけだ……」
誠哉はこくんと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!