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「はい、どうぞ」
翔を一階の和室に通すと、僕は翔に温かいお茶を出した。
抱きついた翔があまりに冷たかったから、早く温まって欲しくて。
「あー、うま」
コタツに足を入れて、お茶をすする翔。
その姿は、なんだかあんまり似合っていない。
僕の部屋に通そうかと思ったけど、さっきまで僕とおばあちゃんがいたこの和室の方が断然暖かいから。
「昴」
「ん?」
「お前、少し痩せたか?
さっき抱きしめた時、随分華奢になったような」
「え? あぁ、熱があったからじゃないかな。
それを言うなら翔こそ、やけに細くなった気がするよ」
「んー、まぁ……。
あんま食欲なかったからな」
「そうなんだ……」
きっとショックだったんだね。
自分の恋人と親友が、公園であんなことをしていたんだから。
あの日から一週間、何の連絡もなかったのは。
翔は翔なりに、自分の気持ちを整理していたからなんだね。
「ずっと連絡しなくてごめんな。
不安な思いをさせただろうけど、昴は何も心配しなくていいよ。
あの日のことは、もう解決したから」
「え……?」
「俺と誠哉、ちゃんと話をつけたから」
うそ……。
翔と田中君、あの日のことについて話し合っていたの?
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