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「あっ、そうだ。
僕ね、翔に渡したいものがあったんだ」
「渡したいもの?」
僕は自分のカバンの中から、小さな袋を取り出した。
「これ、良かったら受け取って。
本当はクリスマスに渡したかったんだけど、渡しそびれちゃったから」
プレゼントを受け取るなり、目を大きく見開く翔。
「マジで? 開けていい?」
「もちろん」
僕が頷くと、早速翔は袋をガサガサと開けた。
「ん? これって……」
「ストラップだよ。実は僕とペアになってるんだ」
そう言って僕は、自分のお財布につけているストラップを翔に見せた。
「おぉっ、ほんとだ。
昴のは鍵で、俺のは南京錠か」
「そう。その翔の南京錠は、僕が持っている鍵がないと絶対に開けられないんだ」
「へぇぇ、すげー。こんなのがあるんだ。
しかも、俺のイニシャル付きじゃん」
「あー……」
やっぱり、そう思っちゃうよね。
「ホントはね、僕のイニシャルを翔に持っていて欲しかったんだけど。
僕と翔ってイニシャルが同じでしょ?
あんまり意味がなかった」
田中君に、さんざん笑われちゃったんだよね。
あれは、すごく恥ずかしかった。
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