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一階の和室に行くと、おばあちゃんがこたつの上に温かい朝食を準備してくれていた。
こたつに足を入れると、僕はいただきますと言って早速ご飯を食べ始めた。
「今朝は食欲が戻ったみたいね」
おばあちゃんが言った。
「うん。熱も下がったし、もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「そんなこといいのよ。
それより昴の方が大変だったね。
せっかくのクリスマスだったのに、熱を出して家に帰ることになるなんて」
そう。
熱を出した僕はとてもじゃないけど遊びに行くことは出来なくて、しかも3日間も寝込むことになってしまった。
その熱がようやく下がったのが昨日。
気が付けば、あと数日で一年が終わろうとしていた。
「黒田君には、あらためてお礼を言わないといけないね。
あんな大雪の中、熱を出した昴をここまで送ってくれたんだから」
「うん、そうだね……」
とは言ってみたものの、その辺りの記憶が実はほとんどない。
タクシーの中で翔に肩を抱かれていたのを、うっすらと覚えているだけだ。
それ以来、翔からの連絡はない。
そして僕も、翔にメッセージを送っていない。
だって……。
何て送っていいか、わからなかったから。
あの光景を見た翔が、僕のことをどう思ったのか。
田中君のことを、どう思ったのか。
それを知るのが、
すごく怖かった……。
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