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コンコンと、俺の部屋のドアが鳴る。
「どうぞ」と言うと、カチャンと扉が開いた。
「翔、大丈夫?」
兄貴の声に、俺はムクッと身体を起こした。
「この頃、ずっと部屋に閉じこもってどうしたの?
食事もあんまりとってないみたいだし、そんなに体調が悪いの?」
心配そうに問いかける兄貴。
俺は、ううんと首を横に振った。
別に体調なんか悪くない。
ちょっと食欲がないだけだ。
「あのさ、翔にお客さんが来てるんだけど、通していい?」
「客?」
客って誰だ?
「っていうか、もう通しちゃったんだけどね。
彼なら特に断りもいらないかなと思って」
「はぁ?」
しばらくするとドアが大きく開いて、背の高い男が兄貴の後ろから顔を出した。
その男は俺と目が合うと、気まずそうに口角を上げた。
「じゃあ僕はここで。
ゆっくりしていってね、誠哉君」
兄貴の言葉に、そいつはぺこりと頭を下げる。
パタンとドアが閉まった途端、静まり返る俺の部屋。
俺はとりあえず、ベッドから足を下ろした。
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