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「-で、何しに来た?」
俺の問いに、誠哉が視線を床に落とす。
理由はわかっているけど、切り出しにくそうだから、あえてこっちから聞いてやった。
「昴のことだろう?」
しばらく動きが止まっていた誠哉が、こくんと頷く。
そんな誠哉を見ながら、俺は深いため息をついた。
この数日間、雪の中で見たあの光景が何度も脳裏に蘇っていた。
最初は、俺の見間違いだろうと思った。
雪が降っていて視界は悪いし、公園は薄暗いし、そう見えているだけなんだって。
だけど、それは公園に近づくにつれ、確信へと変わっていく。
ベンチに座って、優しいキスを交わしている二人。
そのキスはしばらく続き、誠哉は昴を強く抱き寄せた。
ようやく唇が離れたかと思ったら、俺の荷物が肩から地面にずり落ちるまで、二人はじっと見つめ合っていた。
その光景が何度も、何度も……。
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