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「律になにかされたか?」
いえ、別に、と俯く。
「……お前は嘘がつけないな。
浮気はするなよ。
すぐにバレて、相手の男が証拠も残さず、この世から消えているに違いないぞ」
と言い出す。
……誰が消すんですかね、それ、と顔を上げると、向井は嵐の中、窓枠に手をつき、キスしてきた。
向井が離れたあとで、杏は赤くなって俯き、問う。
「な、なんで入ってこないんですか?」
「いや……たまにはこういうのもいいかなと思って」
と向井は笑っているようだった。
どうしよう。
まんまと思惑にはまり、雨に濡れてる課長も格好いいなーとか思ってしまった。
「つ、通報されますよ」
と正視できずに俯きがちに言うと、向井は窓から中に入ってきた。
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