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向井は何故か、律が入ってこないようにと戸口に棚を運んでいた。
いいから、風呂に入れ、と思いながら見ていたのだが、構わず、濡れたままキスしてくる。
「課長、冷えますよ」
とびしょ濡れのスーツに触れ、言ったのだが、向井は、
「脱ぐからいい」
と言う。
いやいやいや。
今はやめてください、と思ったのだが、向井はやめる気はないようだった。
「課長」
と抱きしめながらキスしてくる向井に杏は訊いていた。
「私……此処に居ていいんですかね?」
向井は肩をつかんだまま、離れ、
「どうした、急に」
と言ってくる。
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