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杏がうとうととしたとき、激しく雨戸が鳴った。
まだこらちは嵐がやんではいないようだった。
「課長……?」
と暗い中で呼びかける。
「そういえば、どうやって此処まで帰ってきたんですか?」
と訊いてみた。
いろいろ交通機関が止まって大変なようだったのに、と思ったからだ。
「途中まで動いてる電車を乗り継いで移動して、そのあと、タクシーでと思ったら、捕まらなかったんだ。
繁華街を抜けて、墓場まで行った。
知らない場所だったんで、迷い込んだんだ。
そこを抜けて、ひょいと暗闇の霊園から道に出たらタクシーが居て。
手を上げてもないのに、急ブレーキを踏まれた」
それは……霊だと思われたのでは……。
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