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今日の社食はラーメンで。
蜂谷はトレーを手に席を探していた。
いや、本当は外のラーメン屋に行きたかったのだが、時間がなかったので、社食の美味しいんだか美味しくないんだかよくわからないラーメンを食べることにしたのだ。
近くで、同じラーメンの匂いがするな、と思い、振り向くと、向井がラーメンの載ったトレーを手に立っていた。
そして、近くのテーブルの席が二個空いた。
二人で無言でその席を見たあとで、なんとなく向かい合って座る。
一緒に食べているのにしゃべらないのもなんなので、二人で、当たり障りのない社会情勢について話していた。
ラーメンを食べ終わり、水を飲んだあと、ふと……
本当にふと、という感じで向井が言ってきた。
「蜂谷、結婚ってどうやってするんだったかな」
思わず、水を吹きそうになった。
いや、あんた、それを俺に訊きますか? と思いながら見ていると、気がついたように、
「ああ、すまん。
ただの魂の叫びだ」
と向井は言う。
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